札幌地方裁判所 昭和53年(わ)1498号 判決 1979年3月14日
本店所在地
北海道赤平市字平岸三二四番地
法人の名称
日伸暖房有限会社
右代表者代表取締役
樋坂久幸
本籍
北海道芦別市北二条西一丁目四番地
住所
北海道歌志内市歌神七八番地六
会社役員
樋坂久幸
昭和一四年六月一四日生
右両名に対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官竹下勇夫、宮崎明雄出席のうえ審理して、次のとおり判決する。
主文
一、被告人日伸暖房有限会社を罰金八〇〇万円に処する。
二、被告人樋坂久幸を懲役一〇月に処する。
右被告人に対しこの裁判が確定した日から三年間右刑の執行を猶予する。
三、訴訟費用は被告人両名の連帯負担とする。
理由
(罪となるべき事実)
被告人日伸暖房有限会社は、赤平市字平岸三二四番地に本店を置き、石炭販売等を目的とする資本金一、〇〇〇、〇〇〇円の会社であり、被告人樋坂久幸は、同会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人樋坂久幸は、同会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、架空仕入の計上をするなどの不正な方法によつてその所得を秘匿したうえ
第一 昭和五〇年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度の所得金額が五〇、五七九、二五九円であり、これに対する法人税額が一九、一四〇、七〇〇円であるにもかかわらず、同五一年二月二八日、滝川市大町一丁目八番一四号所在の所轄滝川税務署において、同税務署長に対し、所得金額は一八、七五八、六三四円であり、これに対する法人税額は六、四三一、一〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により、同会社の右事業年度の正規の法人税額とその申告税額との差額一二、七〇九、六〇〇円を免れ
第二 昭和五一年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度の所得金額が一二六、一五四、三四一円であり、これに対する法人税額が四八、五一三、六〇〇円であるにもかかわらず、同五二年二月二六日、前記滝川税務署において、同税務署長に対し、所得金額は八二、二三四、九四七円であり、これに対する法人税額は三〇、九五七、五〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により、同会社の右事業年度の正規の法人税額とその申告税額との差額一七、五五六、一〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
判示事実全部につき
一、被告人会社代表者及び被告人樋坂久幸の当公判廷における供述
一、右同樋坂久幸の検察官に対する供述調書
一、大蔵事務官の右同樋坂久幸に対する各質問てん末書(八通)
一、右同樋坂久幸の大蔵事務官に対する「簿外経費について」と題する上申書
一、戸沢みち子、渡辺久二男、飛島泰子の検察官に対する各供述調書
一、大蔵事務官の戸沢みち子、渡辺久二男、飛島泰子に対する各質問てん末書
一、札幌国税局直税部長作成の「青色申告の承認の取消通知書」(写)等の送付についてと題する書面
一、大蔵事務官作成の調査事績報告書一〇通
一、大蔵事務官作成の脱税額計算書説明資料
一、商業登記簿騰本一通
一、押収してある法人税決議書綴一綴(昭和五四年押第三六号の1)、メモ一枚(同号の2)、金銭出納帳二冊(同号の3、4)、売上補助簿二冊(同号の5、6)、仕入補助簿二冊(同号の7、8)、所得税の確定申告書一綴(同号の9)
(法令の適用)
被告人日伸暖房有限会社の判示第一、第二の各所為は、いずれも法人税法一六四条一項、一五九条一項に該当するが、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから同法四八条二項により各罪所定の罰金の合算額の範囲内で被告人日伸暖房有限会社を罪金八〇〇万円に処し、被告人樋坂久幸の判示第一、第二の各所為は、いずれも法人税法一五九条一項に該当するので所定刑中懲役刑をそれぞれ選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により犯情の重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人樋坂久幸を懲役一〇月に処し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判の確定した日から三年間被告人樋坂久幸に対する右の刑の執行を猶予することとし、訴訟費用については刑事訴訟法一八一条一項本文、一八二条により被告人両名に連帯して負担させることとする。
よつて、主文のとおり判決する。
(裁判官 上原吉勝)